正岡子規へ送りたる句稿 その三十



句稿 三十  〔二十句〕

明治三十一年九月二十八日(水)

1380 小き馬車に積み込まれけり稲の花

1381 夕暮の秋海棠に蝶うとし
1382 離れては寄りては菊の蝶一つ
1383 枚をふくむ三百人や秋の霜
1384 胡児驕つて驚きやすし雁の声
1385 砧うつ真夜中頃に句を得たり
1386 踊りけり拍子をとりて月ながら
1387 茶布巾の黄はさめ易き秋となる
1388 長かれと夜すがら語る二人かな
1389 子は雀身は蛤のうきわかれ
1390 相撲取の屈託顔や午の雨

1391 ものいはぬ案山子に鳥の近寄らず
1392 病む頃を雁来紅に雨多し
1393 寺借りて二十日になりぬ鶏頭花
1394 恩給に事を欠かでや種瓢
1395 早稲晩稲花なら見せう萩紫苑
1396 生垣の丈かり揃へ晴るゝ秋
1397 秋寒し此頃あるゝ海の色
1398 夜相撲やかんてらの灯をふきつける
1399 菅公に梅さかざれば蘭の花

    三十一年九月二十八日    漱石



熊本市内坪井町七十八番地 夏目金之助より
下谷区上根岸町八十二番地 正岡常規へ



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