正岡子規へ送りたる句稿 その二十七



句稿 二十七  〔二十句〕

明治三十年十二月十二日(日)

1302 淋しくば鳴子をならし聞かせうか
1303 ある時は新酒に酔て悔多き
1304 菊の頃なれば帰りの急がれて
1305 傘を菊にさしたり新屋敷
1306 去りしとてはむしりもならず赤き菊
1307 一東の韻に時雨るゝ愚庵かな
1308 凩や鐘をつくなら踏む張つて
1309 二三片山茶花散りぬ床の上
1310 早鐘の恐ろしかりし木の葉哉

1311 片折戸菊押し倒し開きけり
1312 粟の後に刈り残されて菊孤也 (原句 粟の後に刈り後されて菊孤也)
1313 初時雨吾に持病の疝気あり
1314 柿落ちてうたゝ短かき日となりぬ
1315 提灯の根岸に帰る時雨かな
1316 暁の水仙に対し川手水
1317 蒲団着て踏張る夢の暖き
1318 塞を出てあられしたゝか降る事よ
1319 熊笹に兎飛び込む霰哉
1320 病あり二日を籠る置炬燵

1321 水仙の花鼻かぜの枕元

    三十年十二月     漱石拝



熊本県飽託郡大江村四百一番地 夏目金之助より
下谷区上根岸町八十二番地 正岡常規へ



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