正岡子規へ送りたる句稿 その十一



句稿 十一  〔二十句〕

明治二十九年一月二十九日(水)

572 元日に生れぬ先の親恋し
573 あたら元日を餅も食はずに紙衣哉
574 山里は割木でわるや鏡餅
575 砕けよや玉と答へて鏡餅
576 国分寺の瓦掘出す桜かな
577 断礎一片有明桜ちりかゝる
578 堆き茶殻わびしや春の宵 (原句 堆き茶殻わびしや春の夜)
579 古寺に鰯焼くなり春の宵 (原句 古寺に鰯焼くなり春の夜)
580 配所には干網多し春の月

581 口惜しや男と生れ春の月
582 よく聞けば田螺なくなり鍋の中
583 山吹に里の子見えぬ田螺かな
584 白梅に千鳥啼くなり浜の寺
585 梅咲きて奈良の朝こそ恋しけれ
586 消にけりあわたゞしくも春の雪
587 春の雪朱盆に載せて惜しまるゝ
588 居風呂に風ひく夜や冴返る
589 頃しもや越路に病んで冴返る
590 霞む日や巡礼親子二人なり

591 旅人の台場見て行く霞かな

政                  漱石
  明治二十九年一月二十九日 愚陀仏庵小集一題二句



松山市二番町八番戸上野方 夏目金之助より
下谷区上根岸町八十二番地 正岡常規へ



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