正岡子規へ送りたる句稿 その一



句稿 一  〔三十二句〕

明治二十八年九月二十三日(月)

73 蘭の香や門を出づれば日の御旗
74 芭蕉破れて塀破れて旗翩々たり
75 朝寒に樒売り来る男かな
76 朝貌や垣根に捨てし黍のから
77 柳ちる紺屋の門の小川かな
78 見上ぐれば城屹として秋の空
79 烏瓜塀に売家の札はりたり
80 縄簾裏をのぞけば木槿かな

81 崖下に紫苑咲きけり石の間
82 独りわびて僧何占ふ秋の暮
83 痩馬の尻こそはゆし秋の蠅
84 鶏頭や秋田漠々家二三
85 秋の山南を向いて寺二つ
86 汽車去つて稲の波うつ畑かな
87 鶏頭の黄色は淋し常楽寺
88 杉木立中に古りたり秋の寺
89 尼二人梶の七葉に何を書く
90 聨古りて山門閉ぢぬ芋の蔓

91 渋柿や寺の後の芋畠
92 肌寒や羅漢思ひ思ひに坐す (原句 肌寒や思ひ思ひに羅漢坐す)
93 秋の空名もなき山の愈高し
94 曼珠沙花門前の秋風紅一点
95 黄檗の僧今やなし千秋寺
96 三方は竹緑なり秋の水
97 藪影や魚も動かず秋の水
98 山四方中を十里の稲莚<
99 一里行けば一里吹くなり稲の風
100 色鳥や天高くして山小なり

101 大藪や数を尽して蜻蛉とぶ
102 秋の山後ろは大海ならんかし
103 土佐で見ば猶近からん秋の山
104 帰燕いづくにか帰る草茫々

明治二十八年九月二十三日
 散策途上口号三十二首
  愚陀仏庵主



松山市二番町八番戸上野方 夏目金之助より
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