夏目漱石俳句集

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zoom RSS 正岡子規へ送りたる句稿 その九

<<   作成日時 : 2010/07/20 15:35   >>

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句稿 九  〔六十一句〕

明治二十八年十二月十八日(水)

430 飯櫃を蒲団につゝむ孀哉

431 焼芋を頭巾に受くる和尚哉
432 盗人の眼ばかり光る頭巾哉
433 辻番の捕へて見たる頭巾哉
434 頭巾きてゆり落しけり竹の雪
435 さめやらで追手のかゝる蒲団哉
436 毛蒲団に君は目出度寐顔かな
437 薄き事十年あはれ三布蒲団
438 片々や犬盗みたるわらじ足袋
439 羽二重の足袋めしますや嫁が君
440 雪の日や火燵をすべる土佐日記

441 応々と取次に出ぬ火燵哉
442 埋火や南京茶碗塩煎餅
443 埋火に鼠の糞の落ちにけり
444 暁の埋火消ゆる寒さ哉
445 門閉ぢぬ客なき寺の冬構
446 冬籠米搗く音の幽かなり (原句 冬構米搗く音の幽かなり)
447 砂浜や心元なき冬構
448 銅瓶に菊枯るゝ夜の寒哉
449 五つ紋それはいかめし桐火桶
450 冷たくてやがて恐ろし瀬戸火鉢

451 親展の状燃え上る火鉢哉
452 黙然と火鉢の灰をならしけり
453 なき母の湯婆やさめて十二年
454 湯婆とは倅のつけし名なるべし
455 風吹くや下京辺のわたぼうし
456 清水や石段上る綿帽子
457 綿帽子面は成程白からず
458 炉開きや仏間に隣る四畳半
459 炉開きに道也の釜を贈りけり
460 口切や南天の実の赤き頃

461 口切にこはけしからぬ放屁哉
462 吾妹子を客に口切る夕哉
463 花嫁の喰はぬといひし亥の子哉
464 到来の亥の子を見れば黄な粉なり
465 水臭し時雨に濡れし亥の子餅
466 枯ながら蔦の氷れる岩哉
467 湖は氷の上の焚火哉
468 痩馬に山路危き氷哉
469 筆の毛の水一滴を氷りけり
470 井戸縄の氷りて切れし朝哉

471 雁の拍子ぬけたる氷哉
472 枯蘆の廿日流れぬ氷哉
473 水仙の葉はつれなくも氷哉
474 凩に牛怒りたる縄手哉
475 冬ざれや青きもの只菜大根
476 山路来て馬やり過す小春哉
477 橋朽ちて冬川枯るゝ月夜哉
478 蒲殿の愈悲し枯尾花
479 凩や冠者の墓撲つ落松葉
480 山寺や冬の日残る海の上

481 古池や首塚ありて時雨ふる
482 穴蛇の穴を出でたる小春哉
483 空木の根あらはなり冬の川
484 納豆を檀家へ配る師走哉
485 親の名に納豆売る児の憐れさよ
486 からつくや風に吹かれし納豆売
487 榾の火や昨日碓氷を越え申した
488 梁山泊毛脛の多き榾火哉
489 裏表濡れた衣干す榾火哉
490 積雪や血痕絶えて虎の穴

 大政
明治二十八年十二月十八日 今度のはなくしてはいやであります。
票句には△か□の符号をつけ玉へ。    愚陀仏庵



松山市二番町八番戸上野方 夏目金之助より
下谷区上根岸町八十二番地 正岡常規へ



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