夏目漱石俳句集

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zoom RSS 夏目漱石俳句集 <制作年順> 明治30年-3 (1201〜1326)

<<   作成日時 : 2009/11/30 18:10   >>

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夏目漱石俳句集


<制作年順>





明治30年(1897年)

1201 逃がすまじき蚤の行衛や子規
1202 蚤を逸し赤き毛布に恨みあり
1203 蚊にあけて口許りなり蟇の面
1204 鳴きもせでぐさと刺す蚊や田原坂
1205 夏来ぬとまた長鋏を弾ずらく
1206 藪近し椽の下より筍が
1207 寐苦しき門を夜すがら水鶏かな
1208 若葉して手のひらほどの山の寺
1209 菜種打つ向ひ合せや夫婦同志
1210 菊地路や麦を刈るなる旧四月

1211 麦を刈るあとを頻りに燕かな
1212 文与可や筍を食ひ竹を画く
1213 五月雨の弓張らんとすればくるひたる
1214 立て見たり寐て見たり又酒を煮たり
1215 水攻の城落ちんとす五月雨
1216 大手より源氏寄せたり青嵐
1217 水涸れて城将降る雲の峰
1218 槽底に魚あり沈む心太
1219 蛭ありて黄なり水経註に曰く
1220 魚を網し蛭吸ふ足を忘れけり

1221 水打て床几を両つ并べける
1222 蚤をすてゝ虱を得たる木賃哉
1223 撫子に病閑あつて水くれぬ
1224 土用にして灸を据うべき頭痛あり
1225 楽に更けて短き夜なり公使館
1226 夕立や犇めく市の十万家
1227 音もせで水流れけり木下闇
1228 夕涼し起ち得ぬ和子を喞つらく
1229 落ちて来て露になるげな天の川
1230 来て見れば長谷は秋風ばかり也

1231 浜に住んで朝貌小さきうらみ哉
1232 冷かな鐘をつきけり円覚寺
1233 虫売の秋をさまざまに鳴かせけり
1234 案の如くこちら向いたる踊かな
1235 半月や松の間より光妙寺
1236 薬掘昔不老の願あり
1237 黄ばみたる杉葉に白き燈籠哉
1238 行燈や短かゝりし夜の影ならず
1239 徘徊す蓮あるをもて朝な夕な
1240 仏性は白き桔梗にこそあらめ

1241 山寺に湯ざめを悔る今朝の秋
1242 其許は案山子に似たる和尚かな
1243 漕ぎ入れん初汐寄する龍が窟
1244 初秋をふるひかへせしおこり哉
1245 北に向いて書院椽あり秋海棠
1246 砂山に薄許りの野分哉
1247 捨てもあへぬ団扇参れと残暑哉
1248 鳴き立てゝつくつく法師死ぬる日ぞ
1249 唐黍や兵を伏せたる気合あり
1250 夜をもれと小萩のもとに埋めけり

1251 群雀粟の穂による乱れ哉
1252 刈り残す粟にさしたり三日の月
1253 山里や一斗の粟に貧ならず
1254 粟刈らうなれど案山子の淋しかろ
1255 船出ると罵る声す深き霧
1256 鉄砲に朝霧晴るゝ台場哉
1257 朝懸や霧の中より越後勢
1258 川霧に呼はんとして舟見えざる
1259 南九州に入つて柿既に熟す
1260 今日ぞ知る秋をしきりに降りしきる

1261 影二つうつる夜あらん星の井戸
1262 樽柿の渋き昔しを忘るゝな
1263 渋柿やあかの他人であるからは
1264 萩に伏し薄にみだれ故里は
1265 粟折つて穂ながら呉るゝ籠の鳥
1266 蟷螂の何を以てか立腹す
1267 こおろぎのふと鳴き出しぬ鳴きやみぬ
1268 うつらうつら聞き初めしより秋の風
1269 秋風や棚に上げたる古かばん
1270 明月や無筆なれども酒は呑む

1271 明月や御楽に御座る殿御達
1272 明月に今年も旅で逢ひ申す
1273 真夜中は淋しからうに御月様
1274 明月や拙者も無事で此通り
1275 こおろぎよ秋ぢゃ鳴かうが鳴くまいが
1276 秋の暮一人旅とて嫌はるゝ
1277 梁上の君子と語る夜寒かな
1278 これ見よと云はぬ許りに月が出る
1279 朝寒の冷水浴を難んずる
1280 月に行く漱石妻を忘れたり

1281 朝寒の膳に向へば焦げし飯
1282 長き夜を平気な人と合宿す
1283 うそ寒み大めしを食ふ旅客あり
1284 吏と農と夜寒の汽車に語るらく
1285 月さして風呂場へ出たり平家蟹
1286 恐る恐る芭蕉に乗つて雨蛙
1287 某は案山子にて候雀どの
1288 鶏頭の陽気に秋を観ずらん
1289 明月に夜逃せうとて延ばしたる
1290 鳴子引くは只退窟で困る故

1291 芭蕉ならん思ひがけなく戸を打つば
1292 刺さずんば已まずと誓ふ秋の蚊や
1293 秋の蚊と夢油断ばしし給ふな
1294 嫁し去つてなれぬ砧に急がしき
1295 長き夜を煎餅につく鼠かな
1296 野分して蟷螂を窓に吹き入るゝ
1297 豆柿の小くとも数で勝つ気よな
1298 北側を稲妻焼くや黒き雲
1299 余念なくぶらさがるなり烏瓜
1300 蛛落ちて畳に音す秋の灯細し

1301 朝寒み夜寒みひとり行く旅ぞ
1302 淋しくば鳴子をならし聞かせうか
1303 ある時は新酒に酔て悔多き
1304 菊の頃なれば帰りの急がれて
1305 傘を菊にさしたり新屋敷
1306 去りしとてはむしりもならず赤き菊
1307 一東の韻に時雨るゝ愚庵かな
1308 凩や鐘をつくなら踏む張つて
1309 二三片山茶花散りぬ床の上
1310 早鐘の恐ろしかりし木の葉哉

1311 片折戸菊押し倒し開きけり
1312 粟の後に刈り残されて菊孤也
1313 初時雨吾に持病の疝気あり
1314 柿落ちてうたゝ短かき日となりぬ
1315 提灯の根岸に帰る時雨かな
1316 暁の水仙に対し川手水
1317 蒲団着て踏張る夢の暖き
1318 塞を出てあられしたゝか降る事よ
1319 熊笹に兎飛び込む霰哉
1320 病あり二日を籠る置炬燵

1321 水仙の花鼻かぜの枕元
1322 寂として椽に鋏と牡丹哉
1323 白蓮にいやしからざる朱欄哉
1324 来る秋のことわりもなく蚊帳の中
1325 晴明の頭の上や星の恋
1326 竿になれ鉤になれ此処へおろせ雁



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